船舶自動識別情報(AIS)をみてみよう


受信を趣味とする人でもAISの受信を楽しまれている方は少ないと思いますが、今回はそのAISを受信してみようというお話しです。
AISは Automatic Identification System という言葉の頭文字を取って”AIS”と表現されており、日本語では「船舶自動識別装置」と訳されています。
船舶同士の衝突を回避やスムースな航行管理をするために開発されたシステムです。

AISの設置義務など

AISの専用受信機は陸上(沿岸部)に設置されており、船舶から発射された信号を受信してデータを取得、インターネットで情報の伝達を行っています。
陸上のAIS信号の受信設備では、大体20~30海里(約37~55km)がカバーエリアとされているようです。

AISの設置が義務づけられている船は以下の通りです。

・国際航海に出る300総トン数以上の大きさのすべての船
・国際航海に出るすべての旅客船
・500総トン数以上の大きさのすべての船

以上のような船に設置が義務づけられているAISですが、場合によってはAIS信号を意図的に送出しないことも認められています。

・アフリカ東沿岸などの海賊対策で危険海域を通過する場合
アフリカ東沿岸部などは、いまだに海賊行為が横行しています。
自分の位置情報を海賊に知られないためにAISの信号を送出しないことが認められており、これらの地域を航行する船はAISの信号送出しない船が多いようです。

・海上自衛隊や海上保安庁、水産庁などの職務遂行の場合
海上自衛隊や海上保安庁、水産庁などの船は、存在や動きが周囲に知られると活動自体が発覚する恐れがあります。職務上支障が出る恐れがあるため、AIS信号の送出しない場合があります。

・漁船が漁場を知られたくない場合

漁業では実際に魚を獲るポイントは企業秘密なので、誰にも知られたくありません。そのため、AIS信号の送出しない場合があります。

AIS情報とは

AISには船舶の位置情報だけではなくて、船名、船の長さ等の静的情報、位置、速力等の動的情報及び仕向港、到着予定時刻等の航海関連情報が含まれており、AIS情報を送出している船舶の各種情報をリアルタイムで知ることができます。
特に日本国内では、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海など航路が混雑している海域においては非常に有効なシステムとなっています。
 
上記のような設置が義務づけられている船舶については「ClassA」と呼ばれるAISの装置が設置されています。
また、上記のような条件を満たしていなくても「ClassB」と呼ばれる簡易型のAISは搭載可能で、先進国での普及率は大変高くなっているようです。
 Class AClass B
SOLASAIS(搭載義務船)簡易型AIS
情報動的・静的・航海情報動的・静的
通信間隔2~10秒30~3分
到達距離広い(出力12.5W)

狭い(出力2.0W)

 
AISが使用している周波数は以下の2波です。
161.975MHz 国際VHFのCH87B
162.025MHz 国際VHFのCH88B
日本国内におけるAISの課題
日本国内でのAISの課題は全ての船舶にAISの装置が装備されていないことです。
特に日本は普及率でいえばAIS装置設置の発展途上国とも呼べる状況にあるようで、漁業を行っている業務船舶のほとんどには、いまだにAIS装置の搭載はされていません。
運用上は魚場を秘密にするためにAIS信号の送出送信をしなくても良いことになっていますので、小型の漁船などの業務船舶にも全面的なAISの設置が望まれています。

Findshipアプリを使ってみた

スマホやタブレットに対応している「findship」というアプリを使ってAIS情報を表示させてみました。
findshipは基本的な部分は無料で使用できるようになっていますが、アプリ内では課金しないと使用できない機能もあります。

アプリのアイコンはこれ↓

findshipを使用してタブレットで東京湾の船の位置を表示させてみました。


▲東京湾を表示させてみました。かなりの船が行ったり来たりしているのがわかります。


▲横浜の大さん橋に停泊中の「飛鳥2」の詳細情報も表示されます。

ブラウザ版では『MarineTraffic』https://www.marinetraffic.com


▲こちらも大さん橋に停泊中の「飛鳥2」を表示しています。無料で使用できるが広告が表示されます。

衛星AIS

AIS情報を見てみると疑問に感じるところはありませんか?
それは太平洋上とか、近くに沿岸局がないのに表示されている船舶が多数あるのです。
AIS信号は国際VHFを使用しているので、近くにAIS信号を受信するための設備が必要ですが、太平洋や大西洋上では受信する設備が近くにありません。
じつはコレ、人工衛星でAIS信号を受信して船舶の位置情報を表示しているんです。
衛星AISの分野の世界最大手企業がカナダのオンタリオ州に本社を構えるexactEarth社です。
AISの発信する電波は人工衛星でも受信され船舶の位置情報を配信していました。


▲衛星AISのイメージ図。人工衛星も数多くあり全世界(北極海を含む)を広くカバーしてAIS情報を世界の各地に提供しています。また、AIS情報の有効活用も検討されています。


▲JAXAが打ち上げた衛星AISの小型実証衛星4型「SDS-4」、衛星は現在スカパーJSATに運用も含めて譲渡されています。

AISトランスポンダーって?

AIS情報を発信するための無線設備のことを「AISトラスポンダー」と呼びます。
このAISトランスポンダーをアイコムがリリースしていました。
Class Bの簡易型AISトランスポンダーの「MA-510TRJ」です。

MA-510TRJはカラーディスプレイを備え、GPSのアンテナも付属しています。
また、最新のNMEA2000ポートも装備しているため、レーダーなどの外部表示装置と連携することも可能です。

主な特徴
・4.3インチ広視野角ワイドカラーTFTディスプレイ搭載で視認性が向上
・従来のAIS機能に加えて、簡易ナビゲーション機能が加わり、より安全な航行をサポート
・簡単操作、見やすい画面で検出した船舶を管理
・クラスA、クラスBを含むすべてのAIS情報を受信
・GPSレシーバーを標準装備(ケーブル10m含むGPSアンテナ付属)
・従来のNMEA0183ポートに加えてNMEA2000ポートやUSBコネクタを装備し、拡張性を強化
・衝突警報機能やアンカー監視機能など各種アラーム機能搭載
・サイレントモードを標準搭載
・DC12VとDC24Vの電源に両対応
・IPX7の防水性能


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