近年フリラの中でもマニアックとされる特小が盛り上がってきていますが、その人気を後押ししているのがレピーターの存在です。
特小は10mWという非常に小さな出力しか許されていないため、街中などで運用すると、あまりにも飛距離が短いためガッカリすることもあるかと思います。
その飛距離が短いことをカバーするのが特小レピーターですが、有志によって開設されている特小レピーターは、そのサービスエリアの広いことから妨害などに見舞われているレピーターも多いという話も聞かれます。
今回はレピーターの妨害対策の話となります。
途中の解説がウザイと感じる方はPart3まで飛ばしてください。
Part1 レピーターを理解しよう
アマチュア無線では約30年ほど前から430Mhzを中心にレピーター運用がされてきました。
通信距離が短いハンディー機同士でも、レピーターという中継局を介することによって遠距離通信が可能なことから多くの方に利用されています。
日本のアマチュア無線のレピーターは、430Mhzのほか、1200Mhzや28Mhzなども利用されています。
また海外では、144Mhzのレピーターも利用されているようです。
特小の場合もアマチュア無線と同じ考え方で運用されていますが、レピーターを運用する場合は、送信用周波数(アップリンク)と受信用周波数(ダウンリンク)の2つの周波数を使用してレピーターにアクセスします。
レピーターにアクセスするために、多くのレピーターに設定されているのがトーン周波数です。
アマチュア無線のトーン周波数の多くが88.5Hzのトーンですが、最近では異なった周波数のトーンが用いられていることもあります。
これは、レピーターが動作させるために必要なトーンスケルチを解除するための、いわばレピーターを動作させるための「カギ」の役割となり、音声と同時にこのトーン周波数も送信されています。
Part2 レピーターの妨害方法とは?
レピーターに対しての妨害方法を考えて見ましょう。
一般的に「妨害」と呼ばれていますが、本来の表現としては「通信妨害」英語では「Communications jamming」と呼ばれるものです。
レピーターの妨害方法は大きく分けて2通りのタイプに分けられます。
●タイプ1 無変調
妨害方式としては非常に簡単なものとなります。
誰かがレピーターを使用しているときに、同時に音声を乗せない電波を発射します。
悪意を持って混信させることによって妨害することとなります。
●タイプ2 音声妨害
無変調タイプと異なりある程度の準備が必要となるため、カジュアルにできる無変調タイプの妨害よりも、より悪意のこもった妨害方式となります。
音声妨害はさらに3つのタイプに分類されます。
●生声型
妨害者が自分の声によって悪意ある混信を目的とした信号を発信することです。
通信内容としては通信している方に対して、罵声や意味不明なことを言うなどして行われるものです。
●録音型
誰かの交信を録音したものをレピーターに送信して交信を混乱させたり、音楽や、テレビ、ラジオの音声を流したりと手の込んだ悪意ある妨害方法です。
最近ではパソコンで音声を作り出して読ませるといった手法もあるようです。
●DTMF型
DTMF等のトーン信号を流すタイプの妨害方法です。
Part3 おとりレピーターってなんだ?
レピーターについて簡単にわかったところで、今回の「おとりレピーター」ってなに?、と言うことについての解説です。
すでに悪意ある妨害行為に晒されている特小レピーター(仮想RPT)があると仮定します。
この仮想RPTは広域レピーターとしても有名で、サービスエリアも広くユーザーも多い反面、度重なる妨害に晒されています。
ユーザーも多いためチャンネル設定も変更できない状態となっています。
こんな状況を打開すべく管理者は「囮レピーター化」を決めます。
囮レピーターは、すでに妨害を受けている仮想RPTの設定などはそのままに、新たに新設レピーターを設置し、本来のメンバー間などで行う通信を新設レピーターに切り替えるという方式です。
運用チャンネルやトーン周波数が、すでに妨害を受けている仮想RPTとは異なる新設のレピーターです。
もちろん仮想RPTは、設備としては変更がないので、妨害がないときには通常の特小レピーターの役割を果たしているので、従来通り使用できるので表向きには問題はありません。
すでに設置されている著名な山岳系の広域レピーターがオトリRPTと化して動作しているようです。
この広域レピーターも度重なる妨害行為にさらされていたということでした。